【回想】第一回 倭国チキリザマスターズ選手権 – おいで……私があなたのマスターよ –

ふぅぅぅぅぅ……。

カナタはEMホール二階、重い荷物を下ろすようにどさっと自分の身体を席に置いた。

その頃合いを見計らって執事のスワンソンがゆったりとした歩調で階段を上がってくる。揺れる空気には疲れを癒やしてくれるであろう珈琲の香りがかすかに重なっていた。

「レースの首尾はいかがでございましたかな? カナタさま?」

スワンソンはスマートに珈琲を給仕しながら、さりげなく声をかける。

「いや……もう……何というか」

カナタは一つため息を。でも、ちょっぴりイタズラっぽく笑みを見せつつ言葉を継いだ。

「いろんな意味で……とってもエキサイティングだったんだ」

 

……そんなやりとちのしばらくのち、倭国リワードホールには、勝者を讃える銘板と共に、一冊の本が飾られた。

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スタート直前! アイスダンジョン最奥からチキリザと共にゆこう!

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たかがアイスと侮るなかれ。

歴戦の戦士達もチキリザを守るのに精一杯!

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六カ所のチェックポイントのうちの一つ。

ここまでたどり着いたものの、斃れてしまったチキリザ達……。

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すべてのチェックポイントをくぐり抜け、ゴールへ向かってひた走るLady EsperanzaとMUJINAsama!

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無事にゴールしたLady Esperanza とMUJINAsamaを讃える冒険者のみなさま!

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Esperanzaさんのとっても素敵な勝利者コメント!

 


……というわけで、あらためましてこんにちは。

カナタです。

上を見ていただければおわかりの通り、倭国EMイベントとしては初めて競技形式で行われた「第一回 倭国チキリザマスターズ選手権 – おいで……私があなたのマスターよ -」は無事に終了いたしました。

あらためて優勝者の発表です

Esperanzaさま

そして、素晴らしいパートナーである MUJINAsama

こちらのペアが見事栄冠を勝ち取りました!

おめでとうございます! (そして全滅を阻止してくださって本当にありがとうございます)

次々と名だたる冒険者がリタイアする中での、唯一の完走者。まことに素晴らしい!! ……といいますか、イベント中、もう彼女たちひと組しか残っていないとわかった時、私はEMに着任して以来はじめて神に祈りました。

「先着10組を表彰とか言ってゴメンナサイ! 反省しますからどうか彼女たちをお守りください!」

もちろん、参加者のみなさまも手に汗握っていたのではないでしょうか?

とりあえず、幸か不幸か非常にスリリングなイベントになったような……気がします。

ただ、今回は競争ということと、また初めてということもあり、スタート直後から突撃してすぐにリタイアしてしまった方が多いように感じます。今回の経験を次回に活かしていただければ、きっともっと白熱した展開が待ってる……はず。

え? またやるのかって?

ええ。やりますとも。このチキリザマスターズ選手権を伝統的な大会にのし上げる勢いで続けてまいります。突っ込むだけでも、ただ目の前の敵を倒すだけでもダメ。そんな(たぶん)奥が深い(はずの)チキリザマスターズ選手権。

次回開催を、皆さんも首を長~~くしてお待ちくださいね?

倭国リワードホールに記念の銘板とこの記事に掲載した本を飾らせていただいておりますので、ぜひその眼で一度ご確認ください!(EMホール東側後ろにルーンを設置しております)

それでは、ご参加いただいたみなさま、どうもありがとうございました!

また次回、お会いいたしましょう!

 

EM Kanata

魔女コーラからの挑戦状 結果発表

日に日に寒さが増してきた今日この頃、皆さまいかがお過ごしですか?

さて、10月20日(土)、10月27日(土)の両日にわたって開催された全日本シャード対抗イベントの結果をお伝えします。

コブトスダンジョン2階にあるボイドプールにて、出雲シャードのみ爬虫類湧き、その他のシャードはアンデッド湧きにて防衛波数を競い合い、シャードによって最長7時間にも及ぶ激戦を繰り広げました。

結果はこちら!

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倭国シャードは第4位! 後半、敵の侵攻を何度も何度も押し返して立て直したみなさまの連携とパワーに、倭国の底力を見ました!

※ 画像を後ほど追加いたします!

文句なしの優勝を果たした飛鳥シャードには、その功績を称えた記念碑が建立されるとのことです。場所、設置日など詳しい状況が分かり次第お伝えします。

イベントに参加して下さった皆さま、本当にありがとうございました。そしてお疲れさまでした!また来年(?)、ボイドプール前でお会いしましょう!

日本シャードEM一同

【回想】ぼくとオーク、オークとわたし

みんなが帰ったあとの倭国EMホール。

冒険者達の熱気の名残が徐々に薄らいでゆくのを感じながら、カナタは緑色の扉を押し開く。

すぐそこに広がる海から涼やかな風で、まとわりつく疲労感を洗い流しつつ、カナタは通りを挟んだ真新しい建物『Wedding & Event Office』に足を踏み入れ、その未だ殺風景な部屋の中に置かれた椅子にもたれかかるように腰を下ろした。

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「ふぅ……今日は激しかったなぁ」

吹き抜ける風に身をゆだねつつ、カナタは回想にふけるのだった。

………………
…………

 

ステージの上のSwanson(スワンソン)はいつになく張り切っている。そろそろブリタニアの地に到着するらしいプロ執事集団の噂に触発されているのかも知れない。今回、ぼくはそんなスワンソンに表舞台を明け渡し、陰からこっそりみんなの冒険を見守ることに徹しようと思う。

彼は集まった冒険者に対し、胸を張って宣言するのだ。

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「今回皆さま方にはジェロームの片隅に住む、ある錬金術師の元に赴いていただきたく存じます!」

今回は新薬を開発している錬金術師の家に赴いて、その材料集めを手助けするのが目的とのこと。冒険者達はろくに詳しい話も聞かず、スワンソンが開けたゲートに次々と飛び込んで行く。いつもながら頼もしい!

そして到着したのはJhelom(ジェローム)を構成する小さな島の片隅、そこにぽつんと建つ質素な家だった。その家の前で待つのは錬金術師の妻、Antoinette(アントワネット)。

「お手伝いさん達がいらしたわよ~!」

研究に勤しむ夫を呼ぶアントワネット。

冒険者の間に「お手伝いさん」扱いに対する困惑が広がるも、そんなことは意に介さない奔放な雰囲気の彼女だった。

そして現れたのが問題の夫――Frantz(フランツ)だったんだ。

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「いつかは、みんながあっと驚く大発明をして、私の名声をブリタニア全土に知らしめ……」

いかにもダメそうなパターンに、冒険者達の間からは早くも不安の声が漏れ聞こえてくるけれど、そんな彼らに追い打ちをかけるように、フランツは右手に持った怪しげな本を高々と掲げた!

「これさ! 奇天烈大辞典!!」

本人いわく、Lycaeumの本の海から探し出してきたというこの本には、夢のような薬のレシピがぎっしり詰まっているらしいのだ。なぜかいとも簡単に譲り受けることができたこの本を得意満面に掲げるフランツに向けられるのは、しかし冒険者、そして最愛の妻アントワネットの冷たい視線……。

「きてれつ大辞典・・・?」
「キテレツ大辞典…ザワザワ」
「キテレツ大辞典!」
「馬鹿だw」
「マジかwww」
「(´Д`;)」

様々なあきれ声が聞こえるけれど、なぜかみんな奇天烈をカナで言うクセがあるみたいだ。もちろんぼくにはその理由は見当も付かない。……漢字が難しかったのかな?

それはともかくこのフランツ、どうやら大まじめなようだけど、アントワネットによって明かされる過去の失敗作……飲んだ者を激萌えキャラレベルのパッチリおめめにしてしまう「ビッグ・アイ」、蛇のウロコに覆われたステキな美白肌を作り出した「美白王」……あきらめの空気と共に、アントワネットに離婚を勧める声があちこちから起こる!

慌てるフランツは、これらの失敗は正確な材料を集められなかったからだと力説! だからこそ……次の薬を成功させるためにも冒険者の助けが必要なんだとさらに力説! そしてその薬のすばらしさをまだまだ力説!

「……暑さにも、そして寒さにも負けない丈夫なカラダ!」
「バカじゃなくても風邪をひかない完全健康体!」
「まさに鋼の肉体を作り出すこの薬!」
「健康ブームの主役はオレのもの!」

「名付けて『バカになれ』!」

冒険者達の反応をみてみましょう……

「嫌な予感しかしない・・・・」
「ダメじゃん」
「ぅゎぁ」
「www」
「バーカバーカバーカ!」
「阿呆。。。」
「それ薬いらないっすよ」

さすがに可哀想になってきたぼくの耳には、アントワネットの天使のような声が飛び込んできたのだ。

「これで最後……ですからね?」

ぼくはもちろん、冒険者達も耳を疑ったけど、それと同時に「ダメなら離婚」コールがわき起こる!

こうしてなんとか背水の陣ながら、ようやく材料探しに出発することになったフランツと冒険者達。

彼らは早速必要な素材「元気タマ」が隠されているというオーク洞窟(Orc Cave)に向かったんだ。

……オーク洞窟。

歴戦の冒険者たちにとっては、鼻歌交じりに闊歩できる……はずの洞窟だったんだけど……。

今日のオーク洞窟はひと味違った。どうやら動きを察知したオーク族が防御を固めていたようだ!

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いつもは開け放たれている場所が閉ざされ、その場を守る強力なタイタンに困惑しながらも撃退、先を急ぐ!

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そうして次の階層に進んだ冒険者達に、今度はどう見ても尋常ではない強化がなされたオーク達が襲いかかったのだ!

負傷者が続出……しかし、そんな中でも冒険者達は冷静な目を失わない!

普段見慣れないチェスト……そしてその中には謎の言葉が記された書物が隠されている。しかも一つじゃない! フランツの元に集まる情報はどんどん増え、すでにそれは六冊にのぼっていた。

はやる気持ちを抑えきれず、さらに奥へと向かうフランツと冒険者達だったけれど、最奥へと続く道もまた怪しげなチェストでふさがれ、真っ赤な血の色に染まったタイタンが立ちはだかる!

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しかし、勢いづく冒険者達を止められる者など存在しない。この最後の関門も突破し七冊目の本を手に入れた一行はついにオーク洞窟最奥へと到達したんだ。

そしてそこにはひときわ変わった素材で作られたらしいチェスト……そして、またしてもそれを守護するタイタンが現れた。

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酸をまき散らし、荒れ狂うタイタンに身体を焼かれながらも果敢に戦う冒険者達!

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数分後……なんとかこのやっかいなタイタンと、取り巻きの強化オーク達を一掃した冒険者は、残された最後のチェストを覗いた。……元気タマが入っていると思われたそこには、しかしまたしても一冊の本が。

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フランツが周りに集まる冒険者達に、それを読み上げる。

『勇者よ』
『散らばった言葉の頭を紡ぎ』
『血を流す我が戦士にこれを捧げよ』

……?

このほかに見つかった七冊の本には、謎めいた言葉が記されていたはず。それをつなげても特に意味はなさないみたい……。ならばその七冊の本に記された謎に答えてみよう!

ダンジョンの一番奥で、なぜか繰り広げられる謎解き合戦。

そしてしばらくの時が過ぎ……無事暗号を解読した一行は、議論の果てにたどり着いたキーワードを手土産に「血を流す戦士」の元へ向かったのだ。

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そして、勇敢な戦士がそのキーワードを「血を流す戦士」に向かって唱えると……その姿はかき消え、隠された地へとテレポートしてゆく。それを見た一行も我先にとその言葉を唱える。

「Viva Orc!」

飛んだ先は、閉ざされた砂漠。

そして待ち受けるは……オーク大魔神!

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度重なる戦闘に、既にいくらかの冒険者達は、何を探しに来ているのかすらわからなくなっているみたい。

でも、十字に地面を切り裂く烈火をものともせず、ひたすらに剣を振り下ろす戦士達、魔法を浴びせ続ける魔術師達、勇猛なペットを差し向けるテイマー達! そしてお散歩さん達も一生懸命逃げ惑う!

そしてついに倒れる、オーク大魔神。

フランツはその骸から、ついに念願の「元気タマ」を手に入れ、冒険者達と共にアントワネットの待つ家に凱旋したのだ!

……このあと、フランツは念願の新薬「バカになれ!」を完成させるものの……

街の人には受け入れてもらえなかったり

仕方がないからアントワネットが実験台……いや、モニターになってみたり

なぜか彼女がオークになってみたり

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オークになってしまった彼女からの求愛を冷酷に断って、冒険者達から容赦のない罵声を浴びせられるフランツだったり

現地から冒険者の声をお届けします

「コラー!」
「!!!!」
「ひでぇw」
「えええええええええ」
「(´Д`;」
「ひどい」
「あほーー!!」
「燃やせ」
「最低だな!!」
「○すべきだと思う」
「旦那最悪だ!」
「殴っていいぞw」
「シ●ル!出番だ!」
「し、しどすぎる」
「最低だ!」
「○○○○○○○○」

などなど

※ 注 「○」にはちょっと殺伐なあの漢字が入ります。あ、言っちゃった。

でもなぜか涼しい顔で話を変えてみたりするフランツだったり

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と思ったら、自ら「バカになれ!」をあおり、オークになって……あらためてアントワネットにフォーリンラヴしてみたり

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アントワネットもオークフランツにみとれてみたり

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そして……

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ハッピーエンドを迎えてみたり!

……そんなドタバタ劇みたいな今回の出来事だったんだ。

正直みているだけでも疲れたこの夫婦。

もう関わり合いになるのはよそう、そんな風に思いつつ戻ってきたEMホールで、思いがけない声が聞こえてきた。

「今日のフランツとアンは今後また会えるのでしょうか」
「会いたいねw」
「あのキャラはいい」

そして、他の冒険者たちからも賛同の声が聞こえる。

妙に感心しながら、オークになったふたりの顔を思い出す。

みどりのフランツとピンクのアントワネット。

そして、ぼくの脳裏には仲良く手をつないで、再び僕らの前に現れる彼らの勇姿が、自然に浮かんできたんだ。

………………
…………

向こう、EMホールの方からスワンソンの呼ぶ声が、カナタの回想を中断する。

「やれやれ、スワンソン……張り切ってるなぁ……よし! 片付けしよう!」

粗末な椅子から元気よく立ち上がったカナタは、背中を海風に押されながら

EMホールに向かって駆けだした。

 


あらためまして、カナタです。

イベントにご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。

今回は戦闘もストーリーも盛りだくさんなところに、謎解き要素まで詰め込んでしまい、混乱された方も多かったのではないかと反省しきりです。

なかなかオリジナルイベントを開くことができずにたまったエネルギーが凝縮されたものということで、ご容赦くださいませ。

また当日は、イベント本編終了後に、EMホールにてMeet&Greetも開催させていただき、遅い時間まで皆さまが活発にぶつけてくださった、ご意見、ご感想は大切に、今後に役立ててゆきたいと思っております。

この日出現したリワードアイテムや、小道具の本などは、現在突貫工事中のEMリワードホールに後日展示予定です。ホール会館のお知らせは当サイトにて行いますので、チェックの方、よろしくお願い申し上げます。

それではまた、次回イベントでお会いいたしましょう!

 

EM Kanata

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【回想】それぞれの使命

冒険者の皆さま、暑い中いかがお過ごしでしょうか?

倭国EMホールにて執事を勤めさせていただいておりますSwansonでございます。

先日このブリタニアに、ひとりのガーゴイルの少女が現れたとのこと。どうもただならぬ覚悟と使命を持ってやってこられたようでしたが、どうやら無事、冒険者の皆さまのご協力を得られたと耳にしております。

ブリタニアの混乱、エクソダスの復活、そしてテルマーの災厄と続く大きなうねりを形作る、これもまたひとつの欠片であるように思います。

冒険者さまよりのご報告を元に、わたくしスワンソンが簡単にまとめさせていただきましょう。


冒険者を募る謎の文章がブリタニアを駆け巡った数日後、Destard南に広がる沼地帯の一角に彼女は現れた。

傷ついた彼女は、すかさず駆け寄る冒険者の手当を受けながらも、名乗る間も惜しみ集まった冒険者に懇願する。

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「わたしはなんとしてもあのブライトボーンスライムの残骸を集めないといけません!」

「どうか……助けて!」

いきなりのことに戸惑うものの、彼女が駆けてきた沼地から既にそのあとを追う緑色のスライムの集団が迫ってきているのを見るや、冒険者達はリスタをかばうようにスライムの群れに突入してゆくのだった。

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しかし、威勢よく突撃した冒険者を待ち受けていたのは、緑色のスライムだけではなかった。沼と同化するかのような身体を持つ毒々しい葡萄茶の物体が冒険者達にまとわりつく。

「なっ……プレイグビーストか!?」

確かにその形はプレイグビーストのそれであったが、その醜悪な色は冒険者の背筋を凍らせる。それでも果敢に武具を振るう彼らであったが、それをあざ笑うかのように葡萄茶の悪魔は声なき呪文を唱え、死した仲間を甦らせ冒険者に襲いかかった。

冒険者側にも深手を負う者が続出するも、さすがに歴戦の強者たちであった。

ひるむことなく戦い続ける勇者達は一匹、また一匹と強敵を突き崩し、ガーゴイルの少女が望むスライムの残骸を集めることに成功したのだ。そこで一旦、冒険者達は彼女と共に安全な場所へと下がった。

傷ついた身体を癒やすべく包帯を巻く音、呪文の声があちこちから聞こえる中、ガーゴイルの少女は皆の真ん中に立ち、凛として自分の使命を語りはじめたのだ。

「……わたしはリスタ。テルマーから来ました」

「あなたがたに助けを……乞うために」

口調の重さに、治療を続けていた冒険者たちも手を止め、彼女の顔を見る。

そんな空気の中彼女が語ったのは、テルマーを襲う疫病の存在と、それを隠し、罹患者を隔離したまま、なすがままに任せているザー女王の行動だった。彼女は女王の女王としての使命を理解しつつも、倒れゆく同胞達を見捨てるが如き方策に従うことができず、ブリタニアの冒険者達の助けを求めにやってきたのだった。……女王の命に背いてまでも。

薄汚れたローブを羽織っているものの、少女らしからぬ威厳と、その強い光をたたえる瞳は、彼女のただならぬ素性を皆に感じさせずにはいられない。

そんな彼女は冒険者達に、惨状を自身の目で見てほしいと懇願し、ゲートを出現させた。本来自分たちには直接関わりのない遠い異国のことであるのに、冒険者達はためらいもなくゲートをくぐってゆく。

その先はドラゴンウルフ村。今は鉄柵で囲まれ、立ち入りは禁じられている。

もちろん、その鉄柵が放つ異様な雰囲気から汲み取るまでもなく、そこが病人を隔離している地であることは一目瞭然だった。……彼らが到着した今この瞬間でさえ、ガーゴイルのうめき声があちこちから聞こえ、目の前で倒れ、死んでゆくのだから。

リスタは街に入ったところで、再び語りはじめた。

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「ここでは今も弔いの言葉を捧げる間もなく、次々と……次々と仲間が倒れてゆきます」

「彼らを外界から隔つ柵は、絶望の象徴に見えたでしょう。そして……その彼らの眼に、柵の外で何もできずに佇むわたしのことは……いったいどのように映るのでしょう?」

自分の無力を呪うがごとく語る彼女だったが、ふと顔を上げた。

「そんな時でした。その絶望の柵の中、ただひとり倒れゆくガーゴイルに手をさしのべる人物がいるのに気がつきました」

彼女は柵の中に視線を向けながら語ったのだ。漆黒のローブをまとったそのヒーラーが、この疫病――老廃病の治療薬を開発したこと、しかしその材料が集まらず、治療がいっこうに進まないことを。これでようやく、ブライトボーンスライムがこの治療薬の材料のひとつであること、そして、彼女が冒険者達に頼みたいことの全体が明らかになったのだ。

ザー女王の女王としての徳を信じつつも、自分にできること、使命を遂行すべく冒険者たちに膝を折り懇願するリスタ。やがて、彼女は立ち上がり、冒険者達を誘いつつ街の奥へ……。

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煌々と美しい炎を上げる薪を背にリスタは冒険者達に向き直った。

「この炎は仲間を焼く炎」
「今死んだ者が次死ぬ者に焼かれる」
「次に倒れた者はその次倒れゆく者に……」

彼女の後ろで揺らめく炎は、彼女の、そして焼かれていった者達の焦燥を表すように冒険者達の心を焦がす。

「わたしは母……いえ、女王の命に背いてでも」
「ただ、この連鎖を断ち切りたいの……」

気丈なその瞳がほんの少し潤む。

「……どうかみなさん」
「わたしたちを」
「死に逝くガーゴイル達を」
「助けてください」
「お願い……します!」


 

以上でございます……少々長くなってしまいましたな。

リスタという少女は、強い使命感を持つ素晴らしい少女でございますな……。

しかし、この世は彼女だけでなく、皆さまを含めた全ての方々の使命や宿命、そして運命が絡み合って動いてゆくものと存じます。

ならばこそ、この先どうなるものやら、一介の執事であるわたくしには想像もできませぬが、運命はより多くの方々の心が向かう方に傾きやすいのも否定はできませぬ。

皆さまのご決断が……よりよき、後悔のない方向を向くことを。

わたくしは祈ってございます。

 

倭国EMホール執事 Swanson


ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。

さて、今回はライブイベントの幕間のミニイベント的なストーリーでしたので、時間も短く、戦闘も軽めで、拍子抜けした方も多かったかも知れません。

でも、リスタという少女のことを、今のテルマーの現状を心に刻んでいただくべく、彼女の語りを中心とした形にしたというのも事実です。

テルマーだけではなく、ブリタニア、イルシェナーの全てを巻き込んだ大きな流れは、これから佳境を迎えてゆくことでしょう。そして、リスタもまたいつか皆さまの前に現れることもあるでしょう。

よりよき未来のために、これからもみなさんの力が必要です!

次回もどうぞよろしくお願いいたします。

 

EM Kanata

【回想】倭国七夕祭り in 禅都

EMホールの二階。

今日もぐったりと座り込みつつ砂岩の天井をぼぅっと眺めるカナタは口を開いた。

「……よく飾ったなぁ」

帰ってきたところのカナタのローブには、所々細かい笹の葉がくっついて、今日の仕事の余韻を漂わせている。

執事スワンソンは何も言わず、カナタの前にミルクをたっぷり入れた珈琲を静かに給仕する。

柔らかい香りはカナタの昂ぶりを鎮め、彼を回想の夢の中へ誘うのだった。

………………
…………
……

「よーし! こんなもんでしょ!」

七夕の当日、ぼくはローブのフードをとり、汗をぬぐった。

今日は七夕祭り。ぼくにとってははじめてだけど、今まで色んな形で冒険者達に親しまれてきた行事だけあっていい加減にはできない。

ぼくの眼前に広がるのは天の川……に見えると思いたい。

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経験不足は作業量でカバー!

そんな気持ちで作り上げたお祭り会場。

なかなかの重労働だったけれど、作業中にもいろんな方が激励に来てくれた。おかげで気持ちよく、みんなが楽しんでくれる光景を期待しながら準備できたのだ。

そして、しばしの時が流れ、とうとうドキドキしながら待っていたお祭り本番だ!

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今日もたくさんの人が楽しげな表情で集まってくれた。もちろんそれを見ていたぼくの表情も緩みっぱなしだっただろう。

でも、ひととおりのあいさつを済ませたぼくの元には、冒険者のみなさんが持ち寄ってくれた飾り物が殺到する! 受け取っては飾り、飾っては受け取る!

わいわいと盛り上げてくださるみなさんにろくに答えることもできず、ひたすら飾り続けるぼく。なんと結婚記念日の方もいらっしゃるようで、こちらまで嬉しくなりつつもひたすら飾り付けマシーンとして動き続けるのだ。

でも誤解しないでほしいんだ。

意外とみなさんの声援はぼくの耳に届いている。

「退廃的な七夕だな」
「壁食い競争はないんですね」
「噛み様降臨w」
「かなたんの美的センスが問われてしまう」
「かなたさんHPへってるね・・」
「もっとこき使いましょうw」
「かなたさんもきらきらしているといいよ」

ほら……ちゃんと聴いてるでしょ?

そんなこんなで、飾りも落ち着いてきたところで、ぼくも会場をひととおり眺めてみる。

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天の川にイースター島が登場したり

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バナナネコとキノコがあったり

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今が旬のバニラ装飾を楽しんでみたり

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天の川は色んな海産物のおかげで生臭くなってきたり……

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超新星が現れて、天の川を燃やし尽くそうと企てていたり!

さらには会場外には

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有志の方が作ってくださった激呑みスペースができあがっていたり

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奉納酒『天の川』の樽が有名神社にも負けない勢いで並んでいたり。

飾り付けはもちろんだけど、みなさんがお祭りとして盛り上げてくださっているのを目の当たりにして……ぼくは。

こんなステキな時間をくれた彦星と織姫に、心の中で感謝の言葉を呟いたのだ。

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あー……楽しかった……
…………
……

つかの間のうたた寝から目が覚めたとき、スワンソンはちょうど階下に降りてゆくところだった。

冷めてしまった珈琲をすすりつつ。

クールな雰囲気で階段を下りてゆくスワンソンの姿と……みんなが帰ったあとの七夕祭りの会場で見つけたこの光景。

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二つの景色を重ね合わせて、ぼくはその暖かさに。

にっこり微笑んだんだ。

 


さて、今回は七夕イベント!

とにかく飾り付けをして、短冊に願い事を書いていただくだけというシンプルなイベントだけに、みなさんの反応が怖かったことを思い出します。

でも、やはりというか。

その心配は杞憂でございました。

やっぱりイベントはみんなで作るもの。それを実感したイベントになりました。

あらためまして、ご参加いただきました皆さま、本当にありがとうございました! みなさんに育てていただいているこの恩は、より一層楽しいイベントを提供することで返してゆきたいと思っています。これからもどうぞよろしくお願いいたします!

さて、七夕祭り会場は、おそらく一週間ほどで解体することになるかと思います。

二度は作れない会場です。

昨日来られなかった方もぜひ一度足をお運びください。そして短冊に願い事を書き込んでくださいね。

短冊にはみなさんのUOへの想い、倭国への想い、運営への切なる願い。そして久しく会っていない仲間を待ち続ける気持ち、大切な人を思いやる気持ち、立身出世を狙う誓いの言葉、果ては世界平和祈願まで、たくさんの願いが詰まっています。まだ全部見られていない方も必見ですよ!

ちなみに私への激励のお言葉もほんの少し書き込まれていたり! う……嬉しいです。そして上に掲載した執事スワンソンの書き込みも実際に会場の短冊の中に紛れています。ひま~な方は見つけてみてくださいね!

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それではこの辺で……お気に入りの夜の風景と共に失礼します。

 

EM Kanata