【回想】ぼくとオーク、オークとわたし 第二章 - ねずみの行進曲 -

倭国EMホール2F事務室にて。

*ヒック*

ぬぬぬ……キモチワルイ。

カナタは泥酔していた。

しばしの家出……いやちがった。修行の旅から戻ってからはじめての事件も、以前と変わらぬ冒険者達の奮闘で無事(?)幕を閉じた……まではよかったけれど、そのあと開催されたユー首長主催のバザーで、どうやら調子に乗りすぎたようで、この体たらく。

「み……水……水を……」

うわごとのようにつぶやくカナタの傍らにはいつもと変わらぬスワンソン。ふだん通りのすました表情で大ぶりのグラスをスライム状態のカナタの横にそっと置き、洗練された仕草で水を注いだ。

「お疲れさまでございましたな」

そんな素っ気ないねぎらいの言葉を意識の隅で感じつつ、やがて微睡みの中、今日の出来事を思い出すのだった。

………………

…………

 

今日も変わらず……と言いたいところだけど、さすがのスワンソンも久しぶりにみんなを迎えて、少し緊張しているみたい。

しかし、しばしの感傷のあと、それを振り切るようにいつも通り淡々と用件を冒険者達に伝える。

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なんでも以前みんなで手助けをした錬金術師FrantzとAntoinette夫婦から再び手を貸して欲しいとの依頼があったようだ。ちなみに、前の事件でオークに変身してしまったままらしい。

えらく脳天気でラブラブな二人だったような記憶があるけれど……と思っていたらすかさず冒険者からも声が上がる。

「あのバカップルか」

実に的確なツッコミだけど、うちのスワンソンも負けてはいない。

「バカップルとだけ覚えておいでなら、問題ございませんな」

とてもこれから助けにゆこうという相手のことを話しているとは思えない。案の定、この依頼を受けるかについては賛否両論。でも、スワンソンもしたたかだ。

「同意のお声のみ採用させていただきましょう」

というわけで、否応なくみんな揃ってJhelomにあるFrantz達の家に向かったのだ。

 

そうして訪れた冒険者達をまず出迎えてくれたのは、妻のAntoinette……らしきピンクのオーク。彼女は丁寧に冒険者にあいさつし、今の二人の状況も説明してくれる。度重なる実験の失敗で、人間達の信用はなかなか取り戻せないことに心を痛めながらも、オーク族相手にそれなりに上手く商売を続けていることを教えてくれる。

こうしてみるとやっぱりAntoinetteはしっかりもの? でも相変わらず夫のFrantzは、Lycaeumで見つけた秘本「奇天烈大辞典」の研究に余念がないようで……。そのおかげで二人してオークの姿になってしまったというのに、のんきなものだ。

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……と、そこにFrantzがようやく帰ってきた。

「やあ! アン! ただいま~♪」
「あなた~~♪! あなた~~♪」
「*Chu*」
「やだわ……あなたったら」
「んもう♪」

……前言撤回、やっぱりバカップルでOKみたい。

で、今回の依頼はこんな感じ。

取引をしているオーク族からの依頼を受けて、オーク洞窟に大量に発生するねずみ達を駆除すべく開発したのが、吹くと濃厚なチーズの香りを発散してねずみを意のままに操る「カマンベール・フルート」なんだけど、それをオーク達に届ける時に正体不明のヤツらに強奪されてしまったらしいのだ。

しかも悪いことに、その直後から、オーク洞窟の最深部にどこからともなくねずみ達が沸いてきて、ついには占拠されてしまったとのこと。

人間に続いてオーク達の信頼まで失ってしまったら大変! ……ということで、のんきなFrantzにしては色々考えたみたいで。

・ ねずみ達がいきなり洞窟の奥に沸いてくるということは、どこかから穴を掘って侵入しているに違いない
・ オーク洞窟から近くて、ねずみがたむろしている場所

ということで、Sanctuaryの地下が怪しいと目をつけた。

しかも、その奥にあるというエルフ達の集落への特別なゲートまで準備しているという念の入りよう。

……もしや、切れ者?

と思ったぼくがバカだった。

「これは調査が必要だ!」
「……そこで、みなさんの出番です」

こともなげに他力本願。

Sanctuaryと言えば、多種多様なモンスター達が我が物顔に暴れ回っている魔窟だ。そんなところの調査を気軽に冒険者達に振ってしまうFrantzののんきさに呆れるぼくだったけど……それでも冒険者達は臆することなくFrantzが開いたゲートに飛び込んでいったんだ。

ところ変わって、Sanctuary最深部。エルフ達の集落。

Frantzは早速エルフ族の老人に地下のねずみ達の様子をたずねてみる。

すると、地下への入口はすべて封鎖されていることがわかった。早速Frantzはみんなに守ってもらいながら、閉ざされた入口のひとつへ向かったところ、なにやら怪しげなピンク色の物体で入口はふさがっている。

「ねずみの執念」……どうやら名前の通りねずみ達の情念で凝り固まった物質のようで、普通の手段では壊せそうにない。冒険者もさすがに困惑する……が、Frantzは何かひらめいたようで、一目散にエルフの集落へ戻って行く。

そして……猛烈な勢いで奇天烈大辞典をめくりだしたかと思うと、あるページでぴたりと止まり……不敵な笑みを漏らしたんだ。

「これだ!」
「呪いに凝り固まった心を溶かすもの」
「愛と情熱のエッセンス」

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Frantzは得意げに周りを見回すけど、冒険者からは当然こんな声も……

「上手く行きそうに思えん…」

でもFrantzは止まらない。熱心にその製法を確認! ……どうやらねずみの凝り固まった執念を溶かすためには、ねずみが苦手とするものから集めた情熱エナジーが必要とのこと。

冒険者の間からは、ネコ? ねこ? と怪訝そうな声が聞こえてくるけれど、我が意を得たりとFrantzはとんでもないことを提案するのだ。

「幸運なことに」
「みんな知らなかったでしょう?」
「この地には、なぜかネコが大量に闊歩しているようです」
「みなさんに……テイムしてほしいな~……なんて」
「ぼくのワガママですよね?」

傍観者のぼくは心の中でシャウトする。

「ワガママだよ!」

タイタンやらサキュバスやらとんでもないモンスター達がうようよしているこのSanctuaryで、こともあろうに牧歌的に「仲良くしてくれる?」なんてことをやらせようというのか! ……これはさすがに勇敢な冒険者達と言えど……

「やるかー」
「さっそく!」
「おーー!」

え? 物怖じすると言うことを知らないのか? 唖然とするぼくを尻目にFrantzの陽気なかけ声がSanctuaryにこだまする!

「では……出撃!」

……かくして、モンスターが密集する合間を縫って「素晴らしい……」「こっちへおいで……」「仲良くしてくれる?」など、まさに猫なで声がこだまするという奇妙な光景が繰り広げられることになったんだ。

でも、ぼくの心配をよそに、冒険者達は次々とネコを連れ帰ってくる。テイムする者、護衛する者、帰路を拓く者、素晴らしいチームワークあってこその順調さ。

驚くことに、あっという間に、薬を作るために必要な20匹のネコたちがSanctuaryの奥に集められたのだ。

そして、こうなったらキメないといけない男・Frantz。

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集まったニャー達に向かって情熱エナジーを集める儀式を始めたんだ!

「ウニャニャーニャ!(汝らの情熱を)」
「ウニャンニャニャン!(我に注ぎ給え!)」
「むおぉぉぉぉぉぉ……」

そして「愛と情熱のエッセンス」はご都合主義的にあっさり完成!

Frantz、そして勇敢な冒険者達は、ねずみの執念を溶かし、いざ地下のねずみの巣窟へ……。

普段見かけることのない、黒いねずみ達が跋扈している……が、もちろんみんなはひるまない……けれど、何かがおかしい……。黒いねずみが猛烈な勢いで増殖している! しかも通路は狭く、逃げ場もない。

勇敢な戦士達が次々と倒れてゆく。

ぼくはその光景に、まさに灰色に覆われ尽くした光景に蒼白となった……。

が、一旦奥に集まり、なんとか立て直し、それぞれがそれぞれの役割を瞬時に察知し、じわじわと巻き返してゆく。

黒のねずみ達を各個撃破する者、オーク洞窟への抜け穴を探すべく、敵をかわし洞窟を縦横に駆け回る者、傷を負った戦士達の救護にあたる者。

そしてついに、怪しげな抜け穴が見つかった!

ここでも、みんなの素晴らしい連携が炸裂する!

抜け穴の位置を皆に知らせるためにモンスターの大群の中踏みとどまる者や、取り残された冒険者を誘導すべく敵陣のまっただ中へ舞い戻る者。無茶な数の敵達を相手にしても、なお目的のために進もうとするみんなの勇気に胸をあつくしつつ、ぼくもその抜け穴に飛び込んだんだ。

そして、たどり着いたのは……やはりオーク洞窟の最深部。

ねずみ達が作ったのであろうバリケードのおかげで、オークの姿も見えない……けれど、肝心のねずみ達の姿も見えない。……奇妙な静寂。

そんな中だった。彼女が現れたのは。

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Sanctuaryの奥に人知れず、長きにわたり滞在してきたという、女王カタリナ。

なんの女王なのかは、彼女の言葉から知ることはできないけれど、そういえば武骨なモンスターや、原始的な生物がうごめくSanctuaryの中、優雅なサキュバス達が妙な不自然さで集まっている場所があった。もしかしてそのあたりとのつながりが……? などとぼくが考えている間にも話は進む。

少々腰が引け気味ながらも、カタリナの真意を聞き出すFrantz。

どうやら、騒がしいSanctuaryに嫌気がさして、次の住処を探していたときに、ねずみを操ることができるカマンベールフルートを手に入れ、ねずみ達にここを占拠させたらしい。

自分の作ったカマンベールフルートを悪用され、みんなを後ろに従えて、強気になりかけたFrantzだった……んだけど。

衝撃の事実が発覚。

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女王カタリナの部下は、カマンベールフルートを野原の真ん中で拾ったと言っているようですが……強奪されたって、言ってなかった?

「……え?」
「あ……い、いや、ここは強奪されたということで」
「進めて……みません……よね、はい」

さすがに呆れる冒険者達……

「おい・・・」
「ということで、って・・」
「落としたのか」
「・・・」
「失くしただけか・・・」

「それでも、女王カタリナがねずみを操ってオーク洞窟を占拠したことには変わりはない!」と無理矢理息巻くFrantzの声がオーク洞窟に虚ろにこだまする……。なにやってんだか……。

このあまりの滑稽さに女王カタリナも皮肉な笑みをみせるけれど、その妖艶な微笑みは粛正の合図。

洞窟の中を動き回り、冒険者達を翻弄したかと思うと、ついにその本性を現し襲いかかってきたのだ!

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敵は強力な魔法を使う……が、あのねずみ地獄をくぐり抜けてきた勇者達にとっては余裕のある戦いであるように、ぼくには見えた。

往生際の悪い女王カタリナは何度も体力を回復して反撃するが、ついに力尽き洞窟の地面に崩れ落ちたんだ!

長い戦いだったけど、みんなはFrantzを気遣い、カマンベールフルートが見つかったか? と優しく声をかけてくれる。

「もうこいつ倒したから」
「笛いいや……」

いや、確かにねずみどもからオーク洞窟を取り戻すという目的は達したんだけど……ねぇ。

あっけにとられる面々を尻目に、さっさとAntoinetteが待つ家へのゲートを開くFrantz。

何か割り切れないものを感じつつも、みんな揃ってJhelomへ戻って、何はともあれめでたしめでたし……と、ぼくも思ったんだけど。

ここで最後のひと騒動が待っていたんだ。

とにかくオーク族の信頼を取り戻し、この先の商売のめども立ったというのに、なぜかAntoinetteは浮かない顔をしている。彼女の様子がおかしいことにFrantzはもちろん、冒険者達も気付いていた。そんな中、彼女がゆっくり口を開く。

「うん……やっぱりわたしたち」
「……人間に戻った方がいいんじゃないかしら」

Frantzは正直今の暮らしも気に入っているみたいで、不思議そうにその理由を問いかける。彼女は哀しいような哀れむような瞳をFrantzに向けて語りはじめたのだ……。

「オーク族と取引するようになってからというもの」
「わたしもあの洞窟に届け物をしたりするじゃない?」
「……で、たくさんのオーク族の戦士達と会ったりするじゃない?」

Frantzもさすがにとっても不穏なものを感じたのか、相槌がこわごわになっている。

「もちろんあなたのその端正なマスクは捨てがたいの」
「でも……今のわたしは」
「彼らの……彼らの……」
「無駄にたくましいカラダに惹かれてしまうの!」

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驚愕に震えつつ必死でAntoinetteにすがりつくFrantzだったけど、彼女はため息混じりに言い放つのだ。

「でも、これは……」
「本能なのよ!」

恐らく今までの人生で一番ショッキングだったのだろう。ここまで協力してくれた冒険者達のことなんかそっちのけで、人間に戻る方法を研究するために走り去ってしまった……。

そして、残されたAntoinetteと冒険者達。

冒険者達も彼女の告白に驚いてはいたけれど、少々面白がっているのはぼくにはわかった。

そうして色めき立つ冒険者達に、しかしAntoinetteは落ち着き払ってこう言ったのだ。

「わたしが他の男に目移りするはずなんて」
「……ないのにね」

そう、彼女はFrantzに望んでいたんだ。

ちゃんと人間に戻って。

ちゃんとみんなの信用を取り戻して。

そしてしっかり前を向いて歩いて行くことを。

おそらく、近い将来、彼らはまたスワンソンに言ってくるはずだ。

「人間に戻るために、ぜひみなさんのお力を!」

 

…………

………………

カナタはほんの短い間のまどろみから覚め、机に突っ伏していた身体を起こした。

スワンソンの姿はもうない。

机の上のグラスに手を伸ばし、中身を一気にあおる。

よく冷えている水が、ただれた神経を覚ましてくれる。

もちろんまだふらついているけれど、壁に手をつきながらなんとか階下へ……そして、ステージに立つ。

今は誰も居ないEMホールだけど、カナタには見えている。

あのあと、自分の帰還を喜んでくれたみんなの姿が見えている。

次にまた、FrantzとAntoinetteが声をかけてくるまで、少し時間はあるだろう。でも、その間もいろんな出来事が起こるに違いない。そんないろんな出来事とみんなをつなぐのが自分の使命だと。

このステージの上で、そんな当たり前のことに、心新たにするカナタだった。

 


 

あらためまして、カナタです。

久しぶりの倭国オリジナルイベントでございました。

張り切りすぎて、モンスが出過ぎてしまったようです。……まことに申し訳ございません。

また、このFrantzとAntoinetteの物語も、前回からあまりに時間が空きすぎてしまい、理解しにくい部分もあったのではないかと、まこと反省しきりでございます。

ただ、今回はFrantzにとって一刻の猶予もならない事態ですので、今度は恐らく近いうちに再度みなさまのご助力をお願いすることになるでしょう。その時は、またみなさんが駆けつけてくださることを願っております。

ちなみに今回のリワードは、すでに倭国リワードホールに展示しております。もちろんいつも通り、リワードホール学芸員であるKarenの解説書付きですので、どうぞご覧になってくださいね。

 

最後になりますが、イベント後のMeet&Greetで、復帰を祝ってくださったみなさま、本当に有り難うございました。月並みですが……本当に嬉しくて、胸が一杯になりました。

その喜びを、これからのイベントでみなさまに還元できるよう、より一層張り切って参りますので、どうぞ今後共よろしくお願い申し上げます!

では、また次回イベントでお会いいたしましょう。

 

EM Kanata

【回想】 大切なあなた – Valentine’s Seven Stories

倭国EMホールの2F。

Valentineイベントが終わり、各地に置いてあった物語達を目の前に積み上げて満足げに眺めるカナタ。

各地を歩き回り集めてきたとっておきのラブストーリー達。

ただ、とっておきすぎて、チョコレートなんて目じゃない甘さになってしまったことを、少々後悔していたけれど、ふたを開けてみればなんのことはない。

女の子達はもとより、勇敢な戦士達もそれなりに楽しんでくれていたみたい。……もっともそれは、本のありかを探す冒険として、だったのかもしれないけれど。

そしてカナタは、机に積まれた本の横にある、もう一つの山に手を伸ばす。

そう、差入れのチョコレート。

これで当面チョコに困らないのは良いけれど、甘さに頭もクラクラなカナタだった。

そんな甘さを中和してくれるのは、執事・スワンソンが淹れてくれた極めつきのブラック珈琲と「義理ですから!」とのほろ苦すぎるダメ押しの言葉の記憶。

それでもいつになく幸せそうなカナタは、椅子にもたれ、天井を見上げながら今日のイベントを思い返すのだった。

………………
…………

この甘いイベントの仕切りをあの堅苦しいスワンソンに任せるわけにはいかないのだ!

ぼくがやる!

燃えている。

なぜならば、直前まで幾度となく事務所のポストをのぞき込んでも、空っぽ。ついついリワードホールのポストまでのぞきに行ったけど、やっぱり空っぽ。

バレンタイン、もう過ぎちゃってるのにどうなってんの!

こうなったら、イベントで何気なく催促するしかない。

こうして決死の覚悟で、ぼくは壇上に上がったんだ。

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スワンソンさんが来ると思った
スワンソンはどうした
スワンソン人気だなぁ
スワンソンはインフルエンザか
Kanata人気無

うるさいよ。

カチンときたぼくは、とりあえずイベント進行よりも個人的な目的達成を優先するのだ。

「そんなわけで、すでにバレンタインデーは過ぎておりますが」

「みなさんに報告です」

「なぜかワタシの元には、みなさんからのチョコが届いておりません」

これでよし……たくさんのおひねりならぬ、チョコがステージに飛んでくるはず。と思いきや、飛んでくるのは笑い声とクリームパイばかり……。あまりの悲しさに、現実から目を背け記憶の改ざんをスタートする。

「悲しさのあまり、今、ワタシの記憶が改ざんされました」

「今年の倭国のバレンタインデーは、今日2月16日だったに違いない」

というわけで、まだまだ受付中であることをアピールしつつ、そろそろ本題に。

今回は、ブリタニア各地に散らばる七冊の本を探す旅。先に六冊の本を見つけ出し、その本に書かれたキーワードを並べ替え、最後の本のありかへ行っていただくという趣向。

それぞれの本には、ぼくが各地から集めてきた、甘い甘い物語。

独り身らしき人たちからは

寂しい思いするだけかもなのに・・・
そういうのがかえって独り身の心をえぐる…
悪夢かも・・・

などと、ある種阿鼻叫喚にも似た声が聞こえてくるのだけど、自身独り身のぼくは容赦なし。

というわけで、早速スタート。

各自でまわっていただくので、海でも眺めながらのんびりやろう。

六冊のありかのヒントはこんな感じ。

  1. バレンタインにふさわしきあの形をした、小さな小さな島を臨む
  2. 滝の飛沫が花を育て、恋人を呼び寄せる
  3. 海と大地の間、八徳に彩られぬ街
  4. 戦士と傭兵の街ながら、器用さで勝負する職人も
  5. 海賊酒場へようこそ
  6. はじまりの街、ここに籠もってチョコを作ろう

個人的には簡単な問題のつもりだったんだけど……なかなか混乱している模様。とてものんびりしているヒマはなし。

でも、悪いことばかりでもない。

颯爽と働き続けるぼくの姿に魅了されたのだろう。

ついにチョコが我が手に!

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GET!!!

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さらにGET!!

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ステージ上にもたくさんのチョコが! そしてマフィンもハート型に!

これでぼくもエンジン全開!

どんどん集まる質問にもお答えしつつ、巡回もこなす万能っぷり、

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まあ、早い人、遅い人はいろいろで、ぼくはどちらでもかまわない。

とりあえず楽しんでもらっていればそれで良いのだ。

そしてリワードホールに戻ると、そろそろ六冊の本のキーワードを集め終わった方もちらほらと。

でも、キーワードのアナグラム(並べ替え)に苦労している方がかなり多い感じ。多少ヒントを出しつつも、それでも追っつかないくらい大勢の人が悩んでいる雰囲気。

さらに駆け出し冒険者の方もいらっしゃるようで、そもそも六冊の本のヒントがわからない方も悲痛な声を上げている。ちょっと、ぼくだけでは対応しきれない……でも、こんな時に頼りになるのはベテランのみなさんだ。

しかも、いろんなヒントを出しつつ答えへ導く良い仕事!

EMホールもイベントチャットも大盛況。

思いがけないほどの盛り上がりに、ぼくはいつものように、胸が熱くなるのを感じるのだ。

そして、さらに嬉しい提案が。

かなたさんガイドで6冊の本巡りツアーをやっちゃうとかw

うん。初心者さんでどうしようもない感じの人もいるみたいだし、終わった人も残ってくれていてノリノリだし……やっちゃうか!

というわけで、急遽開催決定のバレンタイン本巡りツアー!

六つの石柱に刻まれたヒントをみんなで確認しながら、各地へ飛ぶ!

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まずは、ちいさなちいさなハート型の島。ハートアイランド! ここは知らない人もいたけれど、どちらかというと、場所を覚えてない、という人が多かったみたいだ。

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お次は、”八徳に彩られぬ街”Vesper港!

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説明の必要なし! Yew大滝公園!

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はじまりの街、New Havenの(今日だけは)チョコレート工房は満員御礼!

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個人的にお気に入り、戦士と傭兵の街Jhelomの細工屋さん。

ここには一番テンション高いラブストーリーが!

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そして最後はここ!

Buccaneer’s Denの海賊酒場!

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で、それぞれの本に書かれていたキーワードを並べると……

Reward Hall

そう……マラスの辺境に寂しく建っている、我らが倭国リワードホールこそが最終目的地だったんだ! EMホールの後ろにルーンを置いてあるというドキドキの状況だったけど、気付いた人もオトナの貫禄で見て見ぬ振りをしてくれた。

で、みんな一緒に最後の目的地へ!

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ちょっと照れるけど、最後の本は、ぼくからみんなへの愛と感謝の本だったり。

で、締めのあいさつも終わり、無事解散と思いきや、最後の最後で爆弾発言がぼくを襲う!

アナグラムがDから始まっても、ここに辿り着いてこられて……

な……なんだって!? ……ま……また、しくじった?

絶望に包まれそうなぼくを助けるように、彼女が口を開いた。

Himiko: DEAR RW HALL

あまりにステキなアナグラムに、一気にテンションが上がるぼくだった。

「あなたは素晴らしすぎる」

「もう、それを正解にいたしましょう」

「他の人全員不正解です」(ウソですよ!)

……Himikoさん、あなたが優勝です。

(※ お名前の掲載許可ありがとうございます)

こうして、とってもステキなハッピーバレンタインは幕を閉じたんだ。

感謝の言葉の代わりに、7冊目の本をここに載せたいと思う。

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…………
………………

次の日、両手に6冊の本を抱えて、カナタはリワードホールへ向かった。

蒼白の台に載せられたピンクのキューピッド。周りを飾るのは当然キノコ達。

カナタはその前に六つの台を並べると、それぞれの上に丁寧に一冊ずつ本を置き、さらに薔薇を一輪ずつ添えてゆく。

この物語達に登場したカップル達が今どこで、どうしているのかは神のみぞ知る。

でも、その何十倍も、何百倍もたくさんの恋人達が、この地で幸せに過ごしているところを思い描きながら、カナタはご機嫌にデコレーションを続けるのだった。

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あらためまして、カナタです。

回想記事が遅いのは、少し忘れてきた頃に振り返っていただくためであり、他の理由など存在いたしません。

と、まあ冗談はさておき。

この物語達を集めるのには少々苦労いたしましたが、それに見合って余りある喜びをみなさんからいただくことが出来ました。

今はやりの3Dじゃないけれど、わたしはこのブリタニアの景色が好きです。見た目だけではなく、いろんな場所にいろんな意味があるのが本当に楽しいと思います。EMとしてみなさまをエスコートさせていただくにあたり、(わたしの勝手な創作も含め)一つでも多くの場所に、一つでも多くの思いでが結びつくようにさらにがんばってゆきたいと思っています。

さて、今回は、知識も多少必要なイベントでしたので、勉強になったことも多々ございました。

わたしが当たり前だろうと思っていることが、そうでもなかったり、初心者さんへの配慮が足りないと感じる部分があったり、外人さんにはそもそも対応できなかったり……。

たくさんの方が集まってくださるイベントですから、必ず全員に楽しんでいただけるというのは難しいかもしれませんが、こうして学んだことを少しでも活かして、楽しいイベントを作ってゆきたいと思います。

それでは、今回もご参加いただきましたみなさま

本当にありがとうございました!

【回想】第一回 倭国諸国漫遊謎々競争 in Malas

カナタはあせっていた。

盛大にクイズ大会「第一回 倭国諸国漫遊謎々競争 in Malas」が開催されたのは、そう、1月26日のことである。

その後も節分だバレンタインだと浮かれているうちにすっかり忘れていたのだ。

……確かイベント終了の時、結果をサイトに掲載すると言ったような気がする。

思い出したのは昨日の夜。

必死で記録をあさり、回想録を執筆するカナタの傍らには、数時間も前に執事スワンソンが給仕した珈琲が。

文字通り冷ややかにカナタのお供をしているのだった。

………………
…………

 

さあ! 今日は待ちに待った第一回の諸国漫遊謎々競争だ。

悪いけど、張り切っている。

証拠写真を掲載しよう。

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ところはマラス、倭国リワードホール前。

飾り付けを終えたぼくは、ひとり司会席に陣取り、雄叫びを上げていたのだ。

イベント名は奇をてらって漢字を並べ立ててみたものの、要はクイズ大会。こんなベタなイベントにみんな来てくれるだろうか? 来てくれたとしても、ぼくの作った問題で楽しんでもらえるだろうか?

不安はつきなかったけど、開始直前には続々と冒険者達が詰めかけてくれた。

こうなったらあとはやるだけ!

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こうして始まった謎々競争。

でも、悲しいかな、これ、競争なのよね?

どこかで聞いたようなセリフを心の中で呟きながら、まずは人数減らしの定番「○×クイズ」コーナーの幕を切って落としたんだ。

まずは練習問題。

「ワタクシ、かなたが一番好きな色は?」

本番だったら大ブーイングかもしれない難問で参加者の頭をほぐしにかかる。でも、倭国のEMホールの色、グリーティングサッシュの色に思い当たる強者も何名か……そう、答えは「緑!」

やっぱり自分に関する問題を正解してもらえるのって嬉しいな。そんな自己満足に浸りつつ、本番へ。企画としては毎回どこかの地方や都市にスポットを当てていこうというこの大会。今回はマラス全域をテーマにした問題を出してゆく。

「ルナの中心部には、様々なお店が集中しておりますが……当然宿屋がある!?」

ぼくはいっつもウィンドウショッピングでぶらぶらするだけなので、意外に難しいはず、と思っていたのに意外なほど多くの人があっさり正解を出したのにびっくり。やっぱりみんなよく見ているものだ。

いつも寝泊りしてまーす
利用者結構多いんじゃないかな
みんなよく泊まってたよ
みなとまってるし
住んでる人多そう
今のはサービス問題だな

ちょっぴり、くやしい。

で、それでも間違えた人もいるもので、そーゆー人は……退場!

出でよ! ミニオン!

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見た目の割にてきぱきと、かつ紳士的に不正解者を会場外に送り出すミニオンに、みんなも喜んでくれているようだ。よし! 本採用! 次回からもがんばっていただこう!

こんな感じで次々と問題が続く。

「ルナ城内の東側を南北に走る大通りがありますが……今現在、東側の城壁沿いに建っている冒険者の建物は6軒である?」

ホントに多くの人が何度も何度も見ているはずの街の風景だけど、これはなかなかの難問だったみたい。2問目なのにごっそり減って、すこしドキドキ。

「なんともごっつい城壁で守られているルナの街ですが……歩いて出ることが出来る出口は5カ所である?」

意外と抜け穴を知らない方多し。

ほくそ笑むぼく。

でも2問目にしてごっそり減った会場を目の当たりにして、ぼくは少々怖じ気づいた。ルナに関する次の問題も難しめだったので、ちょっととばすことに!

「牛の楽園、Labyrinthに関する問題です!」

牛!
牛w
でた牛
うし~
ビーフ
モーモーランド

なぜか盛り上がる場内……?

「さて、Labyrinthの中には、過去の文明の痕跡とも思える様々な建物が建ち並びますが、見事に中はからっぽです。しかし、この最奥の邸宅だけは貴族の住まいさながらの内装が施されている?」

実際見てみると、ほぼ空っぽなんだけど、確かに他とちがって装飾付きの机なんかも放置されてあって、迷ってしまった人もいるみたい。でもここは司会者として毅然としなきゃ!

「ワタシが法律です!」

こんな暴言にも笑顔と喝采で答えてくれる倭国民に大感謝のぼくだったんだ。

「このダンジョン、離れ小島の岩山の中にございますが、実はこの岩山の裏手には、小さな洞窟がある?」

意外とこういうのが難しい……。記憶にないけど、見落としたのか、それともそもそもなかったのか? 意地悪だなぁと思いつつの出題だったけれど、それでもやっぱりみんなは盛り上がってくれる。

ここで、気分を変えて、ぼく好みのこんなジャンルへ。

「栽培部門からの出題です」

個人的に好きなガーデニングだから、あんまり意識はしていなかったけれど、このジャンルの問題もわからない人には全くわからないようで……。

「リュウゼツラン、漢字で書くと竜舌蘭。やはりこれは蘭である?」

見事にわれる回答!

「マラスにはブリタニア本土と同じくオークの木は生えているが、クルミの木は生えていない?」

これも難問……といえば難問なんだけど……実は。

「すぐそこ、リワードホールのすぐ横に……」

そう、生えてるんです。せめて会場の周りくらいは確認しておくべきではなかったか? と、無茶なことを呟くぼくだった。と、そこにするどい発言が!

○にするには全土を歩かないとだよね…
逆に生えてないのを確かめるほうが大変だよね・・・
ないってことを証明するのはむずいもんね

その通り! もし生えてないという答えにするならば、ぼくがマラス全土をくまなく調査して、生えてないことを確認しなくちゃならない。……んだけれども、この発言はいただけない!

かたなんがそんな面倒な事をするはずがないっ

言い返せないぼくが少し悲しい。

そしてついに、○×クイズは最終問題へ!

「この倭国が生まれたのは1998年9月である?」

倭国愛を再確認すべく出したこの問題。○と答えたのはお一人のみ! もし○が正解なら決勝戦がなくなってしまうという窮地に立ってしまうぼく……だったけど、答えは×!

こうして、無事に○×クイズを終え……決勝進出の勇者はこの6名!

(左から)Julliaさん、Leiさん、Natsuさん

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orangeさん、Teeswaterさん、WoWさん

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この6名の勇者を待ち構える決勝戦とは……

「早押しクイズ!」

「先に五問正解した方の優勝です!!」

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しかも記述式での出題となるため、ぐーぐる先生でもなんでもOK! とにかく早いが正義というスタイルで決勝はスタートだ!

「さっきも出てきましたダンジョン「ラビリンス」ですが……英語で正確に書いてください!」

Natsuさんがいち早く正解……と思いきや、無念の綴り間違い! しかもぼくもそれを見過ごすという波乱含みの幕開けだったけど、Teeswaterさんが見事先取!

「先ほど○×クイズで出てきましたリュウゼツランですが……一般的に、この種の植物を原料として作られているというお酒はなんでしょう?」

電光石火でJulliaさんが正解! 呑みながらの参戦とのことで、そのかっこよさにほれぼれするぼくなのだ。

そしてその後もクイズは順調に進み……

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Teeswaterさん抜け出す!……と思いきや

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Leiさんが怒濤の追い上げ、そして逆転!

こうしてみると、TeeswaterさんとLeiさんの一騎打ちに見えるのだけど、実際はどの問題もかなりの接戦だったんだ!

色ゴザが前に進まなくて後ろ向いちゃってるWoWさんも、紙一重の差での正答がたくさんあったし、orangeさんは職人部門のマニアック問題で力を発揮! Natsuさんは栽培部門で見事正解!

写真ではわからない白熱の戦いがつづく!

三原理と八徳についての問題や、酒に関する問題、スフィンクスの問題などもはさみつつ、そろそろ心許なくなってきた問題のストック!

そんな時は苦し紛れの「かなたんマニアックス」クイズ! (罵声で)盛り上がる場内!

「さて、少々今回のイベントの裏話でもいたしましょうか……」

「この会場、どことなくバッグボール会場を彷彿とさせます」

「本当は、ルナの南にある、立派な木造のバッグボール会場で今回のイベントは開催される予定だったのです!」

「しかし、襲いかかる予定外の出来事!」

「さて、ワタクシかなたは、あの立派な、観客席もきちんと設置されたあの会場での開催をなぜ断念したのでしょう?」

観客席を見回すと、わかる人はわかっているみたい。うん、一度でもあそこでイベントをしようとしたのなら、わかること。

答えは「声が届かない」、そして正解者はTeeswaterさん。これでついにLeiさんとTeeswaterさんがあと一問に並ぶ!

それにしても、あんないい感じの場所なのに、観客席とフィールドで、声が届かないというのはホント残念。それがなければあそこでもっと楽にイベントの準備ができたのに……という私怨に基づく出題だったけど。……まあ、こういう不完全さもブリタニアの魅力かな?

なんて無理矢理思い込んでみるぼくだった。

そして、終わりはやってきた。

「マラスの砂漠の果てには、あるひとつの墓があります」

「そこにはあるものが供えられています」

「そのあるものとは何?」

……

Teeswater: いかり

第一回 倭国諸国漫遊謎々競争 in Malas

Teeswaterさん、優勝決定!

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おめでとうございます! Teeswaterさん!

そして、出場者全員の健闘をたたえつつ表彰式。

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なんかこういうの言ってみたかったんだ。

そしてTeeswaterさんのひと言!

『すっきり爽快です!』

どうやらTeeswaterさんの素早い解答の原動力は「早くトイレに行きたい」だったようで……。

そして、今回Kanata’s Minionとしてお手伝いして下さったSakuraのEM Nekomataさんにもごあいさつをいただいて……そしてみんなで記念撮影を。

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みなさんありがとうございました!!

ふぅ……心地よい疲れ。

みなさんにはEMホール方面へのゲートを出してお見送り。これから記念のプレートをリワードホールに飾らなくっちゃ……ん? 誰かがゲートから戻ってきてぼくに耳打ちする。

みんなホールに集まってるので、何か一言解散の挨拶くらいしたほうがいいかも?

な……なんだって!?

とりあえずEMホールに急ぐぼく。

!!

30名以上の方がお集まりに! ……よし、やるか!

というわけで、密かに謎々競争番外編が開幕してしまったんだ。

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残った問題もおおかた放出!

次回のためにストックしようと思ってたのに……なんてマッタク思ってなかったんだよ!

そして、これの正解者が優勝となる、番外編最後の問題は……もちろん「かなたんマニアックス!」(怒号飛び交う)

いつもおいしい珈琲をいれてくれる彼を最後くらいは持ち上げよう。

「倭国EMホールの執事といえば?」

すわんそん
すわんそん!!
すわんそん
セバスチャン
swanson

……だれ? セバスチャン。

というわけで、倭国諸国漫遊謎々競争番外編優勝はこの方!

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Snifkinさんでした!

こうして今度こそ、イベントは終わったんだ。

みんな、ありがとう。

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…………
………………

なんとか書き上がったらしい原稿の上に突っ伏して眠るカナタの横、冷たいコーヒーカップを引き上げる手が。

「お疲れさまでございます。カナタさま」

執事スワンソンは小さな声でそう言ってコーヒーカップを取り替えると、温かく香りが匂い立つ珈琲をそっと注ぐ。

そして、その香りがカナタの鼻に届く頃、彼はいつもどおり、ゆっくりとEMホールの階段を降りてゆくのだった。

 


 

あらためまして、カナタです。

回想記事が少々遅くなってしまい、申し訳ございません。その分これからつづく、バレンタインイベント、ひな祭りイベントにも力を注いでおりますので、どうかご容赦を。

それにしても、我ながら楽しいイベントでした。

問題を作るためにマラス各地を奔走いたしましたが、やはりこの世界は素晴らしい。至る所に作り手のちょっとしたお遊び、工夫が入っていて、その理由を想像するだけでも楽しめます。

この倭国諸国漫遊謎々競争も、以前行いましたチキリザマスターズ選手権と同じく、恒例のイベントに育ててゆきたいと思っておりますので、よろしくご声援の程、お願いいたします。

実はイベント終了後、あるプレイヤーさんからご意見をいただきました。次回から問題も募集したらどう? とのこと。

なかなか楽しそうな試みです。応募した人がやたら有利になったりしないよう、やり方を精査しつつ検討させていただこうと思います。ご意見ありがとうございます。

なお、今回もマラスにあるリワードホールに、優勝記念プレートと、記念本を飾らせていただいております。この手のイベントでは、お持ち帰りいただくアイテムなどは基本ございませんが、ホールに名前が刻まれるのも、それに負けない良い記念になると思います……というかなってほしいと思っておりますので、次の機会もたくさんの方のご参加を心待ちにしております。

ご参加いただきました皆さまに、心から感謝申し上げます。

本当にありがとうございました!

EM Kanata

【回想】新たな世代、新たな守人

カナタは倭国リワードホールに新たに展示された妙な物体――大きなキノコをぼんやりと眺めていた。

彼が倭国に着任してきたときのことを思い出しながら。

「ぼくの初イベントでさんざん引っかき回してくれたアイツだったけど……」

妖精サーラ。

青白に輝く妖精、キノコ好きでイタズラ好きの妖精、サーラ。

お母さんが消えゆくその時でさえ、彼女はいつもと変わらぬ傍若無人さを発揮した。

悲しくないの?

そんな風に心の中で問いかけながら、カナタは目を閉じ、先日の出来事を思い起こすのだった。

………………
…………

 

倭国EMホールで、執事スワンソンがみんなへの依頼を語る。

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「今日はスカラブレイにある大工工房「Builder’s Delight」のマイスターから、みなさまへの救援要請が来ております」

旧知の大工マイスターからの依頼のようだ。どうやら彼の弟子に、少々手を焼いている様子。

倭国の冒険者達は今日も躊躇せず、新たな何かを求めて現地へ向かったのだ。

 

そして、Builder’s Delight。

活気があるといえば聞こえは良いけれど、なんだかやたら散らかっている。それも、どう見ても失敗作らしき家具の残骸が。

マイスター・バイエルンはほとほと困り果てた表情で、冒険者達に事情を話す。それによると、弟子のティムが芸術家にかぶれてしまったのか、作るもの作るもの、ちょっと気に入らないと言っては壊し、材料を浪費してしまうらしいのだ。

もちろんここに集まった冒険者達は、材料を集める苦労も知っている者ばかり。

「みなさんからひとつ……ガツンと言ってやってもらえねぇかな?」

そんなバイエルンの頼みを受け、使いから帰ってきたティムに対し思い思いに諫言を口にする。

「ガツン」
「ガツン」
「ガツーン」
「ガツンと!」
「がつん」
「がちょーん」

まったく頼りになる冒険者達だ。

でも、ティムは聞く耳を持たない。二人は冒険者をそっちのけで江戸っ子のような口げんかを始める始末。

「ケチケチすんなぃ! この唐変木の朴念仁オヤジ!」
「言いやがったな……このコンコンチキのスットコドッコイの表六玉の三太郎!」

やがて、頭に血が上ったマイスターは怒って出て行ったんだけど、間が悪くそんな時にお客さんがやってきたんだ。

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貴族の使いと名乗るその男、ベネットが取り出したのは、輝くような純白にうっすらと青がまざった……ぼくにはかすかに見覚えがある、あの色をした板だったんだ。

冒険者の間からもため息が漏れるほど立派な木。相当貴重な物らしいけど、どうも大至急でこの木で作った家具が必要らしい。で、やめておけばいいのに、ティムはマイスターの承諾もなしに家具作りを引き受けてしまったんだ。

「さてと……くれぐれも大事に扱わないとな」

なかなか殊勝なことを言って、作業に取りかかるティム。

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そして寸刻ののち。

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作業台の上には、見事に壊れた椅子がひとつ。

さすがにマズイと思ったティムは、以前マイスターから聴いていたこの木が取れる場所へと泡を食ってひとり飛びだしたんだけど、そこにマイスターが帰宅したのだ。

冒険者からひととおりの事情を聴いたマイスター・バイエルンはもちろん激怒。

「戻ってきたらタコ殴りにしてやる!」

とてもさっき、体罰はダメだよな、などと言っていた人とは思えないセリフを吐きつつ、壊れた椅子に目をやると……なぜかひどく狼狽してしまった。

なんでも、この木を伐採するとやっかいなモンスターが沸くらしいんだけど、どうも様子がおかしい。他にも秘密が隠されているような雰囲気で、冒険者達にその森へ向かうように懇願するマイスターだったんだ。

そして、ところ変わってスカラブレイ郊外の泉のほとり。

追っかけてきた冒険者達の制止を振り切って、目当ての木に斧を振り下ろすティム。

当然のように木を一本切り倒すごとに現れるガーディアンモンスター。

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いきなりの戦闘にも動じず、立ち向かう冒険者達だったけど、かなりの苦戦を強いられた。ティムが我に返ったときには、大勢の冒険者が森の地面に転がってうめき声を上げていたんだ。

さすがに悪いとは思ったティムだったけど、とりあえず唯一残った大きな樹を切ってしまおうと斧を振り上げたその刹那。

樹とティムの間に忽然と現れたひとりの女性。

彼女は哀しい目でティムを見つめ、そして、口を開いたんだ。

「……なぜこの子達を……殺してしまうの?」

単に珍しい樹がほしかっただけのティムは狼狽、そしてその言葉を振り切るように、樹に向かって強引に斧を振り下ろす。

「そう……あなたは知らないのね」

斧が樹に深く食い込む音の狭間から、その女性――マーユの言葉がティムの耳に届く。でも、それでもティムは手を休めない。

「この樹は……わたし」

美しい樹と、それと同じ色をしたマーユの色が変色してゆく。

「あなたが切り倒したのは」

青ざめ……紫に変わる。

「わたしの子どもたち」

そして、灰色に。

ここへ来てようやくティムは、マーユの言葉を理解した。

彼がさっき切り倒した樹は彼女の子ども。その子ども達はやがて妖精へと生まれ変わり、マーユの元を巣立つ。そしてマーユは、また次の子ども達を育ててゆく。

永き時、ひたすらこれを繰り返してきた種族。

そして、彼が今斧を打ち付けている樹は、子ども達である妖精の樹の守人、マーユの言わば本体。

それがなくなることは、マーユの死を、そして、二度とその子ども達である妖精が生まれてこなくなることを意味しているのだ。

ティムは慌てふためき、取り乱す。自分の過ちを、彼は本気で悔いていた。

でも、マーユは……妖精の母はそんな彼にさえ微笑みを向ける。

「そういう天寿も……あるものですわ」

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人間には理解できない潔さ。

でも、ティムは人間なのだ。

消えゆく彼女を揺り起こし、必死になって彼女たちを滅ぼさずにすむ方法を聞き出した。

その方法は、彼女の子ども達の中でも格別の知性と力を持つ妖精が持っている「苗木」、それをマーユが生きているうちにここに持ってくれば、彼女は消えてしまっても、次の「妖精の母」を誕生させることが出来るというもの。

マーユ本人を助ける術がないことに落胆しつつも、ティムはその苗木を取りに行くことを決意したのだ。

そう、マーユの子、知性と力を兼ね備え、イタズラ好きのキノコ好きな、あの妖精が待つマッシュルームケイヴへと。

マーユのため、そして必死で自分たちに頭を下げるティムを助けるために、一時はティムを見放しかけていた冒険者達も共に向かったのは……言うまでもないよね?

彼らは、この倭国が誇る、強く、優しい冒険者達なんだから。

そして、案の定マッシュルームケイヴでは、母への仕打ちを感じ取っていた妖精サーラが、モンスター達を召喚し、問答無用で襲いかかってきた。

でも、冒険者達はもとより、ティムも逃げることなく立ち向かい……ついに苗木を手に入れたんだ。

サーラはとにかく怒っていた。

でも、なんとかティムに苗木を託してくれた。

「消えてゆく、わたしたちの母さんに、よろしく言っといてよね?」

母を失うこと。

その絶望も見せず気丈に振る舞う彼女の別れの言葉。

「じゃ……」

その最後の言葉にだけ、彼女の本当の気持ちが表れていたのかもしれないって、ぼくは思ったんだ。

あとは語るべきことは多くない。

苗木を受け取ったマーユは、最後の力を振り絞り、自分の生命を、使命を、すべてを苗木に託し、妖精の樹の守人としての生涯に幕を閉じた。

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そして、後悔を胸に、ティムは立派な職人として、この苗木の「守人」として生きることを誓ったんだ。

 

…………
………………

カナタは再びゆっくりと目を開ける。

目の前のキノコを見ていると、サーラが今にも現れそうな錯覚を覚える。

「一度、アイツともゆっくりしゃべってみたい……ようなそうでもないような」

曖昧なことを考える。

でも、再び彼女が冒険者達の前に現れることは、きっと当たり前の未来。

そのように感じている自分に気付き、カナタは苦笑しつつ、懐からさっき届いた便りを取り出した。

 

―― 前略 カナタさま、スワンソンさま

こんにちは。

スカラブレイBuilder’s Delightのティムです。

このあいだはホント、世話になりました!

あのあと工房に帰ったおいらを待っていたのは、親方のげんこつと、そのあと肩に置かれたぶ厚い手のひらでした。ちょっと泣いてしまったのはナイショです。

冒険者のみんなが心配してくれていた依頼は、親方の協力でなんとか無事終えることができたんです!

おいら、がんばるから、みんなにもそう伝えてください。

ティムより

 

便りの間からひらりと落ちた一葉の写真をカナタは拾い上げた。

それを見つめて、微笑んで……大きく頷いた。

そして便りをそっと懐に押し込んで、カナタはご機嫌にリワードホールの片付けを始めるのだった。

 

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あらためまして、カナタです。

新年あけましておめでとうございます。

そして、今回のイベントにご参加のみなさま、本当にありがとうございました。

やはり新年初イベントということで、張り切ってみたわけですが、登場したモンスター達も少々張り切りすぎてしまったようです。物語重視のつもりが、すっかり死にイベントになってしまい、恐縮している次第でございます。

反省点は終了後のMeet&Greetで、たくさんのご意見をいただきましたので、今後にきちんと活かしてゆきたいと思っております。

が、厳しい戦闘が差し込まれるイベントであったにもかかわらず、みなさまからは物語の意図を汲んだ発言を場面場面でたくさんいただき、本当に感激しつつイベントを進めておりました。

これだけ多くの方にご参加いただけるEMイベントです。

みなさんにもっと楽しんでいただけるよう、倭国を更に盛り上げる一助になれるよう、今年も張り切っていこうと思っております。

本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます!

 

EM Kanata